2部料金制で売上アップ?企業が儲かる料金戦略のしくみ
現代のサブスクリプション型ビジネスでは、「定額で使い放題」という料金スタイルが広く浸透しています。特にストリーミングサービスやサブスク系サービスに多く見られるのが、「2部料金制」と呼ばれる仕組みです。この料金モデルは、実は企業にとって非常にメリットが大きく、売上を安定的に、かつ効率よく伸ばすための有力な戦略になっています。
2部料金制とは?
2部料金制とは、サービスの料金を「固定部分」と「変動部分」の2つに分ける仕組みです。
- 固定料金(アクセス料):サービスを利用するために必要な基本料金(例:ネットフリックスの月額費)
- 変動料金(利用料):サービスを使った分だけ発生する追加料金(例:都度払いの利用料)
ストリーミングサービスでは、変動料金をゼロにして、「月額〇〇円で使い放題」というスタイルを採用しています。つまり、月額費を払ってしまえば、何時間見ても追加料金がかからない、という形です。
なぜこの仕組みで売上が増えるのか?
2部料金制、とくに「変動料金ゼロ型」の定額制が企業にもたらす主なメリットは、消費者余剰を多く引き出せるということです。
ストリーミングサービスのサービス提供にかかる限界費用は0とします。単純化のために、すべての顧客が以下のような需要を持っているとします。
一か月のうち、一回目のストリーミングサービスでの映画視聴で得られる効用は、400円分としましょう。2回目の映画視聴で得られる効用は、限界効用逓減の法則に基づき300円に、3回目は150円、4回目は100円、5回目は0 になるというような、需要を持っているとします。
この時、月額費という形を取らずに、一回の視聴ごとに一律の料金を取る場合を考えましょう。この時、利益最大化の価格設定は、一回の視聴に300円を課すことです。これにより、一人当たり視聴回数は二回となり、顧客一人当たりから得られる収益は600円ということになります。
次に、月額費をとる二部料金制を考えます。この時、利益最大化の価格設定は、月額費を950円(400+300+150+100)円にして、追加料金を0円にするというものです。これにより、顧客一人から950円もの利益を取ることができます。
このように、一律で追加料金を取るよりも、入場料という形で月額費を取る二部料金制を設定したほうが、消費者余剰を取り込むことができるため企業は収益を大きくできます。
この内容は、ミクロ経済学の入門にあたるため説明は簡略化しましたが、このような二部料金制を検討することは利益増加のためには重要でしょう。
まとめ
2部料金制は、単に料金を分けただけの仕組みではありません。ユーザー心理を巧みに利用しつつ、企業側が安定的かつ効率的に収益を上げるための非常に有効な戦略です。とくに「変動料金をゼロにした定額制」は、ジムをはじめとする多くのサブスクリプションビジネスで成功の鍵となっています。
もしビジネスモデルを考える際には、こうした料金体系の持つ力をぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
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