株式会社エコノミクス&ストラテジー

広告は誰のためのものか?

ある業界で、部品会社Aと最終財メーカーBが1対1で協力しながら製品を作っているとしましょう。Bが完成品を消費者向けに販売するため、テレビCMやネット広告に大きな費用を投じます。製品が売れれば、当然Bの利益は伸びます。しかし、実はその広告の恩恵を受けているのはBだけではありません。製品に組み込まれているA社の部品も、一緒に市場で認知され、評価が高まっているのです。

では、ここで1つの疑問が浮かびます。

A社は広告費を払っているでしょうか?


ある商材について、販売価格が一つにつき10ドルであるとします。部品会社Aからは、部品を5ドルで仕入れるとします。つまり、商品1つにつき、A社とB社が与える付加価値はそれぞれ5です。

この商材について、広告費を6000ドル払えば顧客が新たに1000人増えるとします。この時広告費をAとBで折半すれば、それぞれ5000-3000=2000ドル利益を増やせます。一方で、最終財会社Bだけが負担する場合、5000-6000=マイナス1000なので広告は出されません。業界として過小広告になってしまうのです。これはサプライヤー企業Aにとっても機会損失です。つまり、サプライヤー企業は最終財企業の広告にフリーライドしようとすると業界全体で利益を小さくさせてしまうのです。

このことから導けることは、サプライヤー企業は最終財企業の投資に協力することで、囚人のジレンマ的状況を打破するべきということです。

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