株式会社エコノミクス&ストラテジー

価格差別による参入阻止

参考論文

Fumagalli, Chiara, and Massimo Motta. “Buyers’ Miscoordination, Entry and Downstream Competition.” The Economic Journal 118, no. 531 (2008): 1196–1222


はじめに

企業が市場での支配力を維持するためには、競争相手の新規参入を防ぐことが重要です。排他的契約などが参入障壁として知られていますが、ここでは一部の買い手だけに割安価格を提示するという方法で参入を阻止できることを説明します。


モデル

ある市場を、既存企業が独占していて、同時に潜在的な新規参入社が存在している状況を考えます。前提として新規参入者は、ある一定数以上の顧客を得ることができないと採算が取れず参入ができないとします。

この時、一部の買い手に対して割安価格を提示します。潜在的な新規参入企業は、仮に参入してもこの買い手を獲得することはできません。それ以外の買い手には、引き続き独占価格を提示します。

新規参入企業としては、一定数以上の顧客を得ることができないと、参入の採算が取れないため、参入しなくなります。
つまり、既存企業は一定数の顧客からの利益を犠牲にすることで、新規参入を抑制することができるのです。

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