参考論文
Yoffie, D. B., & Kwak, M. (2001). Judo strategy: Turning your competitors’ strength to your advantage. Harvard Business School Press.
はじめに
1つの会社が、相互に代替性を持っているサービスを提供していることはよく見られます。例えば、ある地域内で同一企業が、電車やバス、タクシー業を行っている光景はよく見られます。ここでは、同一企業が相互に代替性のある商品サービスを出すことで、新規参入を招きやすくなってしまうということを説明します。
メカニズム
A社がある地域で、バス事業を独占的に行っているとします。水平展開してタクシー事業を始めるとします。この時、以前よりもバス事業への新規参入が促進されるはずです。
以前は、仮にバス事業に新規参入されたら、値下げ攻撃で対応するという脅しを潜在的な参入企業に与えることができていました。
一方で、タクシー事業を始めた場合どうでしょうか。もしバス事業の新規参入に対して価格競争を行ってしまうと、その代替品であるタクシー料金を値下げせざるを得なくなるはずです。このような利益相反が生まれてしまうので、タクシー事業での価格競争に追随できなくなってしまうのです。このことを見越して、バス事業での参入が促進されてしまいます。つまり、代替性のある水平展開は参入を促進してしまうリスクがあるのです。
まとめ
代替性のある水平展開は、確かにシナジーが働くというメリットもあります。ですがインセンティブ構造に欠陥がうまれ、新規参入を促してしまうというリスクがあるのです。
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