株式会社エコノミクス&ストラテジー

カニバリゼーションは価格競争を緩和する

はじめに

ある会社が商品やサービスを複数展開する時、その自社商品間にカニバリゼーション(共食い)がないことが重要とされています。この記事では、複数の会社が競争する時には、あえて自社商品間でカニバリが発生するようにすることで、価格競争が緩和されるということを説明します。


ケース

ファッションブランド市場で、A社とB社が水平差別化して競争しているとします。A社は無地のシンプルな洋服を展開し、B社は流行性を取り入れた柄物の洋服を展開しているとします。両社が、より低品質で低価格帯をターゲットにしたブランドをそれぞれ新たに作るとします。この時、以下のすみわけが考えられます。

①A社が低価格でシンプルな洋服の新ブランドを展開し、B社が低価格で流行性のある洋服の新ブランドを展開する すみ分け

②(A社が低価格で流行性のある洋服の新ブランドを展開し、B社が低価格でシンプルな洋服の新ブランドを展開するすみ分け

この二つを比較したとき、②よりも①の方が価格競争が和らぎ、両社の利益が大きくなるはずです。カギとなるのが、カニバリゼーションの有無です。

①の場合、各社は低価格の新ブランドを値下げすると、既存の自社のブランドと顧客の食い合いになってしまうので、値下げインセンティブが小さくなります。低価格低品質の無地ブランドと、高価格高品質の無地ブランドでは、食い合いの関係にあるからです。

一方で②の場合は、各社は低価格の新ブランドを値下げしたところで、既存の自社ブランドに影響しません。例えば、高価格高品質の無地ブランドと、低価格低品質の流行ブランドとでは、顧客が被ることがほとんどなく競合関係にないからです。そのため、両社の値下げインセンティブが大きくなり、結果として価格競争が起きて両ブランドとも価格が低くなってしまいます。

つまり、カニバリゼーションの存在が、価格競争のストッパーとして機能するということです。「他社を攻撃すると、自動的に自分にも悪影響がある」というような市場構造にすることで、価格競争が起きにくくなるのです。

言い換えると、「競争を抑制するためにあえて自分の行動を制限する」という戦略です。戦略的コミットメント とも言います


まとめ

一般的に、新商品を出す際に既存商品とカニバリゼーションが起きるのは望ましくないとされています。ですが、競合他社とのコーディネーション問題的には、カニバリゼーションの存在が価格競争のストッパーとして機能し、価格競争を和らげる作用を持つのです。

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。