はじめに
企業が競合企業などと協力して新たな市場を開拓する際、競争をどのようにコントロールするかは重要な課題です。特に価格競争が激化すると、利益率の低下や長期的な成長戦略の制約につながる可能性があります。そのため、市場開拓の初期段階では、ターゲットとする顧客層を慎重に選定することが求められます。本記事では、価格競争を緩和する手段として高所得者層を優先的に獲得する戦略について解説します。
高所得顧客の存在は価格競争のストッパーになる
一般的に、高所得者は商品やサービスの水平的な差異に対してより多くのお金を支払う意思があります。例えば、Iphoneとアンドロイドについて、どちらのUIが好きかなどは人それぞれですが、自分の好きな方にいくら多く払ってもよいかという額は、高所得者の方が大きくなる傾向にあります。水平的な違いに対して支払ってもよいと考える金額の分布の分散が大きいということです、この結果、価格を1単位下げた際に競合他社から奪える顧客の割合が低くなり、価格弾力性が低くなるという特性が生まれます。
価格弾力性とは、価格の変化に対する需要の変化の度合いを示す指標です。価格弾力性が低い顧客層が多い市場では、競合が値下げをしてもシェアの変動が小さく、激しい価格競争が起こりにくくなります。したがって、競争する企業は、それぞれ高所得者層の顧客基盤を獲得することで、市場全体の価格弾力性を低下させ、価格競争の激化を防ぐことが可能になります。
低所得者層をターゲットにすると価格競争が激化する
一方で、低所得者層は価格に敏感であり、価格競争を促進する要因となり得ます。彼らは、水平的な違い(ブランド・デザイン・機能など)に対して支払う意思が低く、価格の変化に対してより敏感に反応します。その結果、価格を1単位下げると競合他社から奪える顧客の割合が高くなり、市場全体の価格弾力性が上昇してしまいます。
そのため、低所得者層を顧客基盤として取り入れることには、価格競争が激しくなりやすいというリスクが伴います。
劣等財市場では価格競争が激しくなる
関連した話でいうと、所得が上がるほど消費量が減る「劣等財」の市場での水平差別化競争では、理論的には価格競争がより激しくなる傾向があります。これは、高所得者の割合が相対的に少なくなり、価格競争のストッパーの数が少なくなってしまうからです。差別化戦略をとったとしても、顧客全体の価格弾力性が高くなり、企業間の値下げ競争が避けられなくなります。
新市場での戦略:高所得者層を優先ターゲットに
企業が比較的新しい市場に参入し、競合他社と協力して販促活動を行う際には、まずは高所得者層を優先的にターゲットにすることが有効な戦略となります。高所得者層を獲得することで、価格競争の激化を抑えることができるからです。
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