参考論文
Flores, M., & Wenzel, T. (2016). Shopping Hours and Price Competition with Loyal Consumers. The B.E. Journal of Economic Analysis & Policy, 16(1), 393–407.
Shy, O., & Stenbacka, R. (2008). Price Competition, Business Hours and Shopping Time Flexibility. The Economic Journal, 118(531), 1171–1195
はじめに
価格競争を緩和させるには、価格弾力性を小さくする必要があります。この記事では、価格弾力性を小さくする手段として、「競合との営業時間をずらして一部の時間帯を重ならないようにする」という戦略を紹介します。
ケース
ある地域に、2つの飲食店AとBがあり競争しているとします。営業時間で価格差別をすることができないとします。つまり、すべての時間で一律価格を付けるとします。この時、営業時間をすべて被らせて、両社とも10時~22時などとするよりも、Aが10時~21時、Bが11時~22時などにして、一部の時間を重ならないようにすることで、価格競争が緩和されて収益を大きくできる場合があります。
10時~11時はAしか営業していませんが、この時間帯の顧客をA社がすべて独占できることになります。A社は、値下げすることでB社と被っている時間帯の顧客を増やそうとするインセンティブもあります。ですが反対に10時~11時の顧客は高価格を付けたとしても確実に確保できるため留保価値として作用します。つまりこの被っていない時間帯の顧客は、もし仮に高い値段を付けたとしても買ってくれるはずなので、この潜在的利益の存在により、価格を低くするのが損であるというインセンティブ構造が生まれます。結果としてA社の値下げインセンティブは小さくなるのです。つまり、B社はあえて10時~11時に営業しないことで、A社の値下げインセンティブを小さくすることができるのです。21時~22時についても同じで、この時間はB社しか営業していないため、この時間帯の客の独占が留保価値として作用し、B社の値下げインセンティブが小さくなります。
このように、営業時間について競合とは被らない時間帯をあえて作ることで、独占できる時間帯の潜在的利益が留保価値として作用し、お互いの値下げインセンティブが小さくなり、価格競争が緩和されます。
独占禁止法との関係
営業時間について競合と話し合い、それぞれ割り当て時間を決めて被らないように取り決めることは独占禁止法違反です。すなわち、暗黙の了解的に被らない時間を作るようにする必要があります。
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