はじめに
多くの商品には、「ロイヤルカスタマー」と呼ばれる特別な顧客が存在します。ロイヤルカスタマーとは、たとえ他社の商品よりいくら値段が高くても、自社の商品を選び続けてくれるファンのような存在です。このような顧客を競争する各社が持っている時、価格競争が緩やかになります。
さらに重要なのは、競合他社がロイヤルカスタマーを獲得することによって、価格競争が緩和され利益を得られるということです。なぜなら、各企業がそれぞれの固定客を一定数持つことで、値下げをするインセンティブが小さくなるからです。結果として、企業同士が過度な価格競争を避けながら、安定した利益を得られる可能性が高まるのです。
メカニズム
ある市場を巡って、2社(AとB)が競争しているとします。顧客には3種類いて、A社B社それぞれのロイヤルカスタマーと、非ロイヤルカスタマーです。A社のロイヤルカスタマーは、A社商品の価格がB社よりいくら高くてもA社商品を買うような顧客であるとします。この時、それぞれのロイヤルカスタマーの存在が価格競争を緩和させます。
A社は、非ロイヤルカスタマーを巡って、価格を下げることでB社から顧客奪うインセンティブを持っています。ですが反対に、A社ロイヤリティーカスタマーに対しては、仮にいくら高い価格を提示しても確実に確保できるため、留保価値として作用します。つまり、この潜在的利益の存在により、価格を低くすることが損であるというインセンティブ構造が生まれます。結果として、ロイヤリティーカスタマーの存在によりA社の値下げインセンティブが小さくなり、価格を引き下げないようになります。B社についても同じ作用が働き、市場として価格競争が緩和されるのです。
戦略的示唆
この理論から以下のような示唆が得られます。それは、価格競争緩和の観点からは、競合他社がロイヤリティカスタマーを獲得、定着させる邪魔をするべきではないということです。競合他社の他社乗り換え割などを行うことで、確かに顧客数を増やせる可能性はあります。ですが、それにより競合他社のロイヤリティカスタマーの数が減ってしまうと、競合他社の値下げインセンティブが強まり価格競争が激しくなることで、利益が小さくなる可能性があるのです。
各社がそれぞれのロイヤルカスタマーを維持し合う方が、利益が安定する可能性があるのです。
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