はじめに
雑誌や新聞産業では、コンテンツを販売することによる収益のほかに、媒体として広告枠を設けてそれを販売することによる、広告収益もあります。この記事では、競争する企業が広告収入モデルを新たに採用すると、コンテンツの差別化度が小さくなってしまい、理論的にはコンテンツ販売において価格競争が起きてしまうということを説明します。
広告収益モデルと差別化
広告収益モデルを採用すると、顧客を増やすインセンティブが強く働くということは、以下の記事で説明しました。
A社とB社が、雑誌事業において、コンテンツ収益のみだけで競争しているとします。この時、価格競争を避けたいというインセンティブが働き差別化が実現されるはずです。
次に、両社が、新たに自身の雑誌に広告枠を設けて広告主に販売するようになったとしましょう。これによって広告収入というキャッシュポイントが新たに追加されることにより、利益が増える作用が生まれます。ですが、広告収入の追加により、コンテンツを中庸にしようというインセンティブが各社に生まれるようになります。一般的に、差別化度を決めるときには、
①競合に近づけることで価格競争が激化する作用(差別化により価格競争が緩和される作用)
②競合に近づけることにより顧客が増える作用(差別化により顧客が減ってしまう作用)
の二つが考慮されます。広告収入が追加された場合、②の作用がより強く働くようになります。広告収入を増やす(広告主を増やす)には、読者を増やすことが重要になり、そのためには万人受けするコンテンツを出したほうが良いからです。或いは、広告主から、より多くの読者の目に留まるよう万人受けするコンテンツを出すよう圧力がかかるかもしれません。価格競争を考慮する①の作用は、相対的に弱まってしまいます。
その結果として、理論的には、広告収益モデルを追加すると、各社のコンテンツの差別化度が弱まり、コンテンツ販売における価格競争が激しくなり、収益率が下がってしまう作用が発生するようになります。
まとめ
新たなキャッシュポイントの創出法として、広告収益モデルがあげられます。
広告収益モデルには以下のような落とし穴があります。競争する各社がともに広告収益モデルを追加するようになると、コンテンツにおける差別化度が小さくなり、コンテンツ販売における価格競争が激しくなってしまうという負の作用も発生するようになります。広告収益モデルの追加を検討するときは、この観点を考える必要があるでしょう。場合によっては、広告収益モデルを採用しないことに各社がコミットすることのほうが、望ましいかもしれないのです。
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